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ベンチャー・中小企業のためのスカウト極意
【ベンチャー・中小企業のためのスカウト極意】
はじめに
ベンチャー企業や中小企業にとって、優秀な人材の獲得は事業成長のカギを握ります。そんな悩みを抱えている人事担当者や経営者の方々に朗報です。
本書では、ベンチャー・中小企業に特化したコンサルティングノウハウを惜しみなく公開します。 具体的には、選ぶべき媒体とその料金、スカウト文章のコツ、送信方法、スカウト担当者が持つべきマインドや姿勢など、実践的なテクニックの作成を詳しく解説します。
【目次】
- 選ぶべき媒体とその料金
- 1-1. 求人媒体について
- 1-2. 求人媒体の特徴/比較
- 1-3. 求人媒体の料金体系
- スカウト文章作成のコツ
- 2-1. スカウトメールとは
- 2-2. スカウトメール作成の4つのポイント
- 2-3. スカウトメールにおけるポジティブ/ネガティブワード
- 2-4. スカウトメールの例文と書き方ガイド
- 送信方法
- 3-1. 配信におけるタイミング
- 3-2. 媒体におけるスカウトを送るタイミングの見極め方
- スカウト担当が持つべきマインド/姿勢
- 4-1. スカウト担当が持つべき心構え
- 4-2. スカウト担当者に向いている人/向かない人の特徴
- 成功事例
1. 選ぶべき媒体とその料金
「求人媒体への掲載を検討しているがどのサイトを利用すればいいのかわからない」「自社にあった求人媒体はどれなのかわからない」という人事担当者様、経営者様も多いのではないでしょうか?
この章では、そんなお悩みを抱えている方へ、求人媒体の特徴から料金比較までをわかりやすく解説いたします。
1-1. 求人媒体について
求人媒体とは、新卒採用・中途採用・アルバイト採用など採用募集をおこなっている企業が業務内容やどのような人物を求めているかなどの求人情報を掲載し、求職者からの応募を待つ媒体です。ここでは、求人媒体の利用が向いている企業の特徴を紹介します。
①同職種でさまざまな地域の募集が多い
同業種でさまざまな地域の募集が多い企業は求人媒体の利用が向いています。
②募集人数が多い
募集人数が多い場合も求人媒体の利用が向いています。
エージェント依頼は1名の採用毎に費用が掛かるのに対して、求人は掲載費を支払えば何名採用しても良く、多くの採用をすればするほど費用対効果は高くなるので、募集人数が多い場合は求人媒体を選択することが向いています。
また、転職を今すぐしたい求職者(転職顕在層)も、転職を考え始めている段階の人(転職潜在層)も、求人媒体にとりあえず登録をして、募集を探す・眺める方は多くいます。
大量採用をお考えの企業に加えて、転職潜在層へのアプローチをお考えの企業にも、求人媒体の効果は感じられやすいといえます。しかし、離職が多いために募集の頻度や人数が多い企業はこの限りではないので注意しましょう。
求人媒体の場合1職種に対して1求人のため、複数勤務地がある場合は対象者が増えることになるので、効果が上がることが想定されます。
③採用難度が比較的低い
採用難度が低いというのはどういう状況でしょうか。
特殊資格の必要な職種を募集したい場合、その資格を持っている人が限られてしまうため、採用難度は高くなってしまいます。その逆であるため、希望者の多い職種や、特別な資格の不要な職種の募集などが、採用難易度が比較的低いといえます。
具体的には、主に営業職や事務職といったものが例に挙げられます。
このような職種は希望者も多い傾向にあり、また、コストを削減しながらの採用が求められるため、求人媒体を利用することでより効率的に採用活動をおこなうことができます。
1-2. 求人媒体の特徴/比較
【求人媒体(求人広告)主要媒体の比較表】
求人媒体(求人広告)にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。
若年層採用に強みを持つ求人媒体やエンジニア職採用に強みを持つ求人媒体など、自社の採用ターゲットに合わせて活用する媒体を選定しましょう。
さらにスカウト・DM機能など、媒体によって使える機能も異なるため、自社の採用目的に合わせて媒体を選定するようにしましょう。
【スカウト型求人媒体(ダイレクトリクルーティング)の比較表】
スカウト型求人媒体は企業が求職者に直接スカウトできる特徴があります。
求職者の中から自社の採用ターゲットに合う人材を選別してスカウトメールを送信するため、効率的に採用活動がおこなえます。
採用ターゲットが多いサービスを選ぶことで候補者探しもスムーズになるため、各サービスの特徴や会員属性を比較し、自社に合ったサービスを選定しましょう。
【求人検索エンジン型求人媒体比較】
※2024年3月時点
求人検索エンジン型求人媒体は原稿作成の自由度が高めです。一方で、自社でしっかりと求人原稿を作成しなければ応募獲得が難しくなります。
また、求人検索エンジン型求人媒体を比較する際はユーザー数だけでなく原稿作成のしやすさや、連携できる求人媒体(求人広告)に着目してみましょう。
利用中の求人媒体の求人原稿を活用できる場合があります。
1-3. 求人媒体について
①掲載費用が無料の求人媒体(求人広告)
掲載費用(料金)が無料の求人媒体の中には、完全無料型と一部無料型のものがあります。
無料なので掲載ハードルが低く求人募集しやすいのがメリットですが、原稿作成など工数が増えやすい傾向があります。
また、多くの企業が利用しており掲載数が多くなっているため、求人情報が他社の情報に埋もれてしまい、応募が入りにくくなる可能性があります。
②掲載費用が有料の求人媒体(求人広告)
掲載費用(料金)が有料の求人媒体(求人広告)の中には、先行投資型と成果報酬型のものがあります。
先行投資型は掲載期間や求人広告スペースなどの掲載プランにより料金が異なるものが多いです。
成果報酬型は採用に成功したときに想定年収の20%前後の料金が発生するものが多くみられます。 特に人材紹介やダイレクトリクルーティングサービスは成果報酬型がめずらしくありません
まとめ
①求人媒体の特性を把握
求人媒体(求人広告)により、年齢・性別・得意とする業種・職種、求職者の志向性などが異なります。
マイナビ転職やエン転職、リクナビNEXTなど、どんな業種・職種にも対応している「総合求人媒体」は複数ありますが、経験スキルの高い求職者が集まる求人媒体もあれば、20代の若手や未経験者が多い求人媒体などもあります。
その他にも業界や職種に特化している、地方採用に強いなど、求職者属性に特化をした転職サイトも複数あるので、それぞれのサイトの特性や自社のターゲット数などをしっかり見極めた上で自社に最適な求人媒体を選定することが重要です。
そのためにも、まずは自社内で求める人物像をペルソナ化し、ターゲットを明確にしておきましょう。
②付属の機能で比較をする
原稿修正が可能か
求人サイトの特性に合わせ媒体選定をおこなったにも関わらず、予想以上に応募が集まらないなどの不測の事態がおこった場合、PV数や応募数などの効果を確認しつつ「原稿修正」をおこなった方がよい場合もあります。
求人サイトによっては、原稿修正が有料な転職サイトもありますので、事前に原稿修正の可否についても確認しておくべきでしょう。
この他にも不採用通知時の連絡方法、面接のドタキャンを防ぐ機能が設置されているなど、転職サイトにより備えている機能が異なります。
これらの機能を事前に把握することでスムーズな採用につながります。
スカウトメール機能
スカウトメールとは、ターゲットに対して直接アプローチのできるツールです。
採用成功率を高めるためにも機能面をしっかり確認しておきましょう。
求職者の履歴書・職務経歴書が見られるのか、スカウトメール配信通数は何件まで可能なのか、有料なのか無料なのか、文面のカスタマイズは可能なのか、など詳細に確認しておきましょう。
③費用対効果を考慮する
採用活動に充てる資金もそれぞれの会社によって異なるでしょう。
採用活動を成功させるために、求人媒体(求人広告)ごとにどれくらい費用がかかりどれくらいの効果が見込めるのかを、求人コンサルタントなどに情報をあおぎ、事前にリサーチをおこないましょう。
同業他社での実績や効果、時期変動などを考慮し、自社の場合の想定を見極めます。
安かろう・悪かろうでは求人を出す意味がないので、予算だけで判断をせず、他社実績など費用対効果を意識しながら求人サイトを選ぶことをおすすめします
採用媒体にはさまざまな職種の採用が得意なサービスと、特定の業種や職種の採用が得意なサービスがあります。
また、登録者の年齢層や居住地など採用媒体ごとの特徴を比較して自社の採用ターゲットが多いサービスを選ぶことで、応募が入りやすくなります。
2. スカウト文章作成のコツ
スカウトメールは、候補者へアプローチする重要な手法です。その作成に、多くの企業は「テンプレ化しており、候補者からの返信率が低い」「どのくらいの情報量を載せて送ればいいのかわかならい」という人事担当者様、経営者様も多いのではないでしょうか?この章では、そんなお悩みを抱えている方へ、スカウトメールの4つのポイントから例文と書き方までをわかりやすく解説いたします。
2-1. スカウトメールとは
従来のように求職者からの応募を待つのではなく、リクルーターが声をかけたい求職者を選定し、その求職者に直接メッセージを送ることで応募を促進していくのが「スカウトメール」と呼ばれる採用手法です。
まさに「待ち」ではなく「攻め」の採用といえるでしょう。
①スカウトメールを送る前に必ず知っておくべきこと
スカウトメールは従来の採用手法とは異なり企業側からのアプローチになるため求職者の企業理解は浅く、志望度も低い状態です。
すぐに転職を考えておらずタイミングや希望が合えば転職したいと考えている「転職潜在層」が多いため、まずは興味を持ってもらうところから始めなければならないので中長期的なアプローチが必要となります。
スカウトメールからいきなり選考に進むのは求職者にとってハードルが高く、企業側とのミスマッチも起こりやすくなります。
そのため、一度カジュアル面談という形でお互いの情報を交換できる場を設けることがポイントとなります。
②スカウトメールの種類
【1対1のスカウトメール】
ダイレクトリクルーティングサービスのスカウトメール
ダイレクトリクルーティングの場合は、スカウトを前提としているため配信先の条件をより細かく設定できるタイプのものが多いのが特徴といえます。
非公開求人でのスカウトであることがほとんどの為、より一層の『特別感』を出すことができます。
またデータベース上で求職者のレジュメを細かく見ることが可能なので「求める人材」に焦点を当ててスカウトが可能です。
【1対複数人のスカウトメール】
広告媒体のスカウトメール
広告媒体内で求職者の年齢、経験職種、現住所などターゲットの配信条件を設定し、ターゲット毎に文面をカスタマイズして送ることが可能です。
ダイレクトリクルーティングと比べてスカウト通数を多く送ることができるため、広く求人募集をかけることができます。
メールマガジン
配信先の条件は広告媒体のスカウトメールの時とほぼ同様の条件で設定ができます。
ただし、文面の指定は各個人別にカスタマイズすることは出来ず、多くの人に一斉に同様の文面でアプローチをするスタイルとなるため、求職者からすると特別感は薄れる傾向にあります。
大量の募集人数の場合は効果的といえるでしょう。
③スカウトメールがなぜ、注目されているのか?
スカウトメールが注目されている理由は、優秀な人材獲得競争が活性化しているためです。少子高齢化に伴う労働力人口の減少や、スキル不足が深刻化する中、企業は積極的に人材獲得を行っています特に、ベンチャー企業や中小企業にとって、限られたリソースがネックとなり、求人広告だけでは十分な応募が集まらないケースが多い傾向にあります。
そこで、注目されているのがスカウトメールです。スカウトメールは、企業側から候補者に直接アプローチできる手段であり、求人広告では届きにくい優秀な人材にアプローチができる可能性があります。候補者の個別のニーズや関心事に合わせてカスタマイズできるため、求人広告よりも響きやすいと言えます。
さらに、SNSの普及により、候補者の情報がより入手しやすくなったことも、スカウトメールが注目される理由の一つです。LinkedInやGitHubなどのプラットフォームを活用することで、企業は候補者のスキルやバックグラウンドを把握した上で、スカウトメールができます。
その背景から、スカウトメールは優秀な人材獲得の有効な手段として注目を集めています。 企業は、スカウトメールを戦略的に活用することで、取り組みや規模に関係なく、優秀な人材を引き寄せることが可能になり、スカウトメールが注目されています。
2-2. スカウトメール作成の4つのポイント
①ターゲットと検索時を明確にする
「ターゲットとするペルソナ」と「検索軸」を明確にしましょう。
まず、どのような人材を求めているのかを具体的に想像してみます。年齢や職歴、スキルセットなどの基本情報に加えて、その人の価値観や仕事に対する姿勢なども考えてみましょう。
【スカウトするペルソナを設定】
年齢や前職、年収などの基本情報に加えて、その人がどのような仕事をしたいと考えているのか、前の職場で例えば、「年齢20代後半/前職:営業職/年収360万以下」
人と接することが好きで、営業職の経験をしていた。
個人営業であったため、スケールの大きな仕事は少なくこれからは自身のスキルアップを考えており規模の大きな仕事に携わりより大きなやりがいを感じたい。
といった思いを持つ人を目標にするなら、そのような人物像を明確にしておくことが大切です。
また、求職者と自社の価値観に関するミスマッチを防ぐために、自社に合わない価値観を持つ人物を明確にすることも大切です。
【検索軸を考える】
ここでのポイントは、求職者の希望職種です。
上記の場合だと、賃貸営業となります。
オファー職種と希望職種の一致を見逃さずに送信対象を絞ることで、応募への確度がかなり高まります。
検索軸の設定で注意すべきことは、検索条件を絞りすぎると候補者の数が減ってしまうことです。
条件は優先度の高い軸をぶらさずに、段階的に緩和しながら調整しましょう。
②特別感を出す
【件名】
スカウトメールで最も重要なのが「件名」です。 たくさんのメールが届く中で、あなたのメールに目を留めてもらうには、件名で特別感を演出する必要があります。候補者の名前を入れたり、競合他社との差別化ポイントを数値で具体的に示すことで、より強い効果を与えられます。
【内容】
本文では、しっかりと伝えたいことを端的に記載しましょう。候補者の職務資格や自己PRをしっかりと読んで、「あなただからこそオファーしました」という想いを込めて伝えることで、候補者の心を掴めます。好感度を上げるために、スカウトに至った評価ポイントを記載するのがおすすめです。
③スカウト文面は相手に寄り添う内容にする
転職は人生の大きな決断です。多くの求職者は不安を抱えながらも転職活動を進めているため、スカウトメールではその心に寄り添うことが大切です。求職者の業務経験とどのようにマッチしているのかを丁寧に説明し、「この会社で自分の可能性を広げられるかも知れない」と感じてもらうことも重要です。
また、突然面接に誘うのではなく、カジュアル面談なども効果的です。
④会社紹介はわかりやすく端的に伝える
会社紹介は、候補者が知りたい情報をわかりやすく、端的に伝えることが大切です。 会社の理念や事業内容、現在の社会的意義や将来のビジョンに触れつつ、全てを伝えきらず、「もっとこの会社のことを知りたい」と思ってもらえるように現在軸と未来軸を交えて紹介することを心がけましょう。面談への興味を引き出すことがスカウトメールの目的だと意識して、候補者の心に響く紹介文を考えることが大切です。
2-3. スカウトメールにおけるポジティブ/ネガティブワード
スカウトメールで使用するワードは、職種によって与える印象が変わってきます。
ここでは、職種ごとに、
「ポジティブな印象を与えるワード」と「ネガティブな印象を与えるワード」をそれぞれピックアップしてご紹介します。
①営業/管理/事務系
『ポジティブワード』
・土日祝休み、残業なし(少なめ)、幹部候補、有休消化率高
『ネガティブワード』
・急募、大量採用、ベンチャー、マルチタスク
②ITエンジニア/クリエイティブ系
『ポジティブワード』
・前職の給与保証、フレックス勤務、年齢・性別関係なく評価
『ネガティブワード』
・急募、大量採用、早期キャリアアップ
②販売/サービス/美容系
『ポジティブワード』
・地域密着、未経験歓迎、幅広い年齢層
『ネガティブワード』
・大量採用、早期キャリアアップ、実力主義、歩合性
2-3. スカウトメールの例文と書き方ガイド
①良いスカウトメール
・特別感がある・希望条件にマッチしている
・役職者からのオファー・明確な評価ポイントがある
・次にすべきアクションが分かりやすい
②悪いスカウトメール
・あからさまな「定型分」・長い会社紹介
・返信しにくい・応募するメリットが見当たらない
・働くイメージがわかない
③良いスカウトメールのテンプレートと書き方
【件名】
〇〇様のご経歴をお読みしました!
よろしければ一度お話させて頂けませんか?
【例文】
はじめまして。
〇〇社の採用担当をしております〇〇と申します。
〇〇様のご経歴を拝見し、ぜひ一度お話をさせて頂きたいと思いご連絡させていただきました。
理由としては、〇〇社での〇〇のご経験から、弊社が現在募集している〇〇のスタッフとしてご活躍いただける人財だと高く評価しているからです!
また、今回〇〇の職種をご希望されているということで〇〇様のご期待に添える環境がご提供できると思っております。
(具体的にどのような環境を提供できるのかを記載できると◎)
今回の募集は広く公開しておらず、弊社が選考にお呼びしたい方だけにご連絡しておりますので〇〇様にご興味をお持ちいただけると大変嬉しいです!
弊社の社風としては、〇〇という目標を持ち、現在は〇〇に向け、仲間同士で切磋琢磨しているようなチームです。
もし、具体的な業務内容・会社の詳細についてお知りになりたい場合は、求人票と弊社ホームページ(公式ブログ)をご覧頂けると幸いです!
<URLのリンクをつける>
他にもいろいろとお伝えしたいのですが、ぜひ直接お話しさせて頂き、お互いを知り合うことができればと思っています。
お返事頂ければ次のメッセージでカジュアル面談の日程調整のご案内をお送りしますね。
また、すぐにでも選考に進みたい、というご要望があればご遠慮なくその旨もお伝えください!
スケジュール調整はもちろんご面談の方法もオンラインやお電話などで柔軟に対応致します。
それでは、〇〇様からのお返事を心よりお待ちしております!
【書き方のポイント】
親近感を持って最後まで読んでもらえるよう、送り主は「個人名」で記載。
あなただから送ったという「特別感」を冒頭でしっかり伝える。
会社側の紹介は端的に、それ以上知りたいかどうかは任意で選べるようにしておくなど工夫する。
候補者が次のアクションを気軽に起こしやすいように誘導し、接触方法もエントリーだけではなくカジュアル面談を挟むような流れだと◎
候補者にしっかりと寄り添い、威圧感を与えないような文面にする。
まとめ
スカウトメールは、企業が優秀な人材を直接アプローチし、応募を促進する効果的な手法を採用しています。少子高齢化や人材が不足する中、特にベンチャー企業や中小企業にとって、スカウトメールは限られたリソースで人材を獲得できる注目の手段となっています。
スカウトメールを作成する際は、4つのポイントを押さえることが重要です。まず、ターゲットとなる人物像を明確にし、検索軸を立てること。次に、件名や本文で特別感を演出し、候補者そして、候補者の不安や悩みに寄り添い、共感を示すこと。最後に、会社の魅力をわかりやすく伝え、面談への興味を引き出すことです。
また、職種ごとにポジティブ・ネガティブな言葉が異なるため、正しい言葉選びにも注意が必要です。
スカウトメールは、企業と求職者の出会いの始まりであり、丁寧なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築いて、優秀な人材の獲得につなげていきましょう。
3. 送信方法
スカウトの返信率に影響する3つの要素として、「ターゲット」「タイミング」「メッセージ」があります。
スカウト返信率を上げるために、スカウト文面を求職者一人ひとりにカスタマイズする等、スカウト文面の内容を気にしている会社が多いように思います。しかし実際には、スカウト文面では大きな返信率の差は出せないこともあります。
そして重要なのに、最も見過ごされがちなのが「タイミング」です。
この章では、この「タイミング」に関して、おすすめの曜日や時間に加え、スカウトサービスごとに、送るべきタイミングの対象者を見極める方法を解説します。
3-1. 配信におけるタイミング
ダイレクトリクルーティングサービス、Offersが2022年3月に行ったデータをご紹介します。
Offersのデータに基づく、おすすめのオファー送信タイミングは、木・金・土の午前中または17~21時です。これは、スマートフォンを操作する可能性が高いタイミングです。
①オファー送信の時間帯別
朝7時〜11時台(8時台、10時台を除く)
17時〜21時台(19時台を除く)
②オファー送信の曜日別 木曜日、金曜日、土曜日
3-2. 媒体におけるスカウトを送るタイミングの見極め方
①直近媒体登録
求職者側が直近に媒体に登録(アカウント開設)したことを意味します。媒体に登録したばかりということで、転職意向も高く、他の会社からのスカウト受信通数も多くない可能性があるので、出来るだけ直近に登録した求職者を狙うことでスカウト返信率を高めることができます。ただし、直近登録した求職者のプロフィールが薄い場合は、登録してみただけで転職する気が無い求職者も一定数存在します。
②直近レジュメ・プロフィール更新
求職者が直近に、媒体に登録しているプロフィール情報を更新したことを意味します。もちろん求職者の中では媒体に登録したタイミングから一度もプロフィールを更新せずに転職活動を終える方もいますが、登録してから一定期間経ってから本格的に転職活動を始めるためにプロフィールを更新する方も多くいます。その意味では、①の登録日よりこの指標の方を最重要視してスカウトしている企業もいます。
③直近他社応募
求職者が直近に、媒体上の他の会社の選考に応募したことを意味します。媒体によっては、応募したのか、選考に進んだのかまで分かるようになっているものもありますが、そこまで明確に分からない媒体が殆どです。応募したばかりであれば、転職活動が本格化しているというシグナルになるので狙うべきという判断になりますが、一方で既に他社選考の終盤まで進んでいるケースもあり、スカウトしても反応が無い場合もあります。
④直近ログイン
求職者が直近にスカウト媒体にログインしたことを意味します。直近に媒体にログインすらしていない求職者は、少なくともその媒体上では転職活動を全く行っていない場合が多いので、最終ログイン日の日付が遠い求職者にスカウトしても、リアクションはないことがほとんどです。ただ、この指標は上記の①〜②に当てはまる求職者であれば、④は必ず当てはまるので、スカウトしても良い最低条件に過ぎません。
3-3. まとめ
スカウトメールの返信率を上げるためには、「ターゲット」「タイミング」「メッセージ」の3つの要素が重要ですが、特に間違えがちなのが「タイミング」です。おすすめのオファータイミングは、木・金・土の午前中または17~21時で、求職者がスマートフォンを操作する可能性が高い時間帯です。
また、求職者の媒体の更新状況ごとに適切なタイミングの対象者を見極めることも大切です。
4. スカウト担当が持つべきマインド/姿勢
採用活動は「人」を相手としたプロジェクトであり、その業務には向き不向きが存在します。ただスカウト担当になったならば、適性の有無とは関係なく、持つべき心構えがあります。
この章では、初めてスカウト担当になった人でも、今すぐ意識することで求職者に寄り添った対応ができ、スカウト担当者が持つべき心構えから向いている人/向いていない人の特徴を解説します。
4-1. スカウト担当が持つべき心構え
①企業の顔であることを意識する
スカウト担当は候補者が初めて接点を持つ「企業の人」であり、応募から内定に至るまで唯一コミュニケーションが取れる相手です。求職者にとってスカウト担当は企業のイメージに直結し、志望度に大きな影響を与えます。
会社の顔であることを意識し、常に気持ち良いコミュニケーションやふるまいをすることが大切です。
②自社をよく知り魅力を伝える
自社の魅力を伝えることも大きな役割です。
直接的なコミュニケーションはもちろん、求人広告や自社サイト、SNSでの発信によって、自社に興味を持つ求職者を増やせます。そのためには自らが企業についてよく理解し、他社にはない魅力を見つけることが大切です。
実感のともなった言葉で、より多くの人に自社で働く魅力を伝えましょう。
③候補者とは対等な立場だと心得る
選考の場面では「企業が求職者を選んでいる」という意識に陥ってしまう場合があります。しかし実際は「求職者も企業を選んでいる」のであり、その立場はあくまで対等です。一方的な選考を行わず、求職者の希望もきちんと考慮し、お互いが満足のいく形で合意できるように努めることが重要です。
不採用の相手にも最後まで誠実に採用活動では、求職者に不採用を通知する場面が必ず訪れます。たとえ採用に至らなかった相手でも、最後まで誠実な対応を心がけてください。
どのような結果であれ、その後も候補者が企業のファンになってくれるかは、担当の対応一つで大きく変わります。
内定者だけに手厚く対応するのではなく、企業の顔としてふさわしいコミュニケーションを貫くことが大切です。
4-2. スカウト担当者に向いている人/向かない人の特徴
①向いている人の特徴
・口が堅くモラルがある
求職者のさまざまな個人情報や社内の機密情報に触れる機会が多い仕事です。口の堅さやモラル意識の高さは、採用を含めた人事の仕事全般において必須の要素と言えます。選考状況を漏らしたり、採用活動とは無関係な事情で個人情報を利用したりといった行動は許されません。また、採用面接においては法律違反や人権侵害、就職差別につながるNG質問も存在します。社会人としてのコンプライアンス意識が求められます。
・他人に興味・関心を持てる
多くの求職者と向き合う仕事です。人材を見極める意味でも、選考を通して自社の魅力を伝える意味でも、他人に興味・関心を持てることが重要になります。
求職者から見ても、採用担当が自分に興味を持ってくれているかは感じ取れるものです。名前を覚えてくれない採用担当より、しっかり自分を覚えてくれている採用担当のいる企業のほうが、印象は良くなります。
初対面の人に対して「どのような人なのだろう」とすぐに興味・関心を持てる人は、スカウト担当向きと言えます。
・調整業務や臨機応変な対応が苦ではない
経営層や配属部署との打ち合わせ、社内外の関係者との連携、候補者との日程調整など、多くの人とやり取りをします。よって調整や臨機応変な対応が苦手な人よりは、そういった業務にストレス耐性がある人のほうが適任と言えます。
また、採用市場のトレンドは毎年変化します。新しい採用手法も次々と登場するため、状況の変化を柔軟に捉えられることも大切な資質です。
②向かない人の特徴
・情に流されやすい
たとえ他人に興味・関心を持てる人でも、情に流されやすいタイプは向いていません。なぜならば、採用担当は企業の視点で求職者の採用・不採用を判断しなければならない立場だからです。1人の求職者に情をかけてしまうと見極めの基準がブレてしまいます。人材の見極めに感情を挟まないドライさがない人は、採用活動に強いストレスを感じてしまうかもしれません。
・自社に愛着や魅力を感じていない
人材の獲得によって自社の事業成長を支える仕事です。自社に愛着を感じていなければ、経営方針や事業計画を深く理解したうえでの採用活動はできません。
また選考を通じて求職者の志望度を上昇させる役割もあります。採用担当が自社の魅力を理解できていないと、求職者の気持ちを動かす発信は難しいでしょう。
・責任感が薄い
複数の求職者に対応しますが、求職者からすれば採用担当が唯一の窓口です。
よって、自社の顔としての責任感が薄い人には向きません。ビジネスマナーを無視した対応や雑なコミュニケーションで候補者を不快にさせる恐れがあります。
また、そもそも採用担当としての責任感が足りない人に、機密情報や候補者の個人情報を扱わせるのは危険です。情報を漏洩させたとなれば、企業全体のイメージダウンにつながります。
4-3. まとめ
スカウト担当者は、企業の顔として求職者と接する重要な役割を担っています。そのため、スカウト担当者には特別な心構えと姿勢が求められます。
まず、企業の顔であることを意識し、常に気持ち良いコミュニケーションを心がけることが大切です。選考の場面では、求職者と対等な立場であることを心得て、お互いが満足のいく形で合意できるようにすることが求められます。また、求職者が企業のファンになってくれる可能性があることも考慮する必要があります。
スカウト担当者に向いている人の特徴としては、口が堅くモラルがあること、誰かに興味・関心を持てること、調整業務や臨機応変な対応が苦ではないことが挙げられます。向いていない人の特徴としては、情に流れやすいこと、自分に愛着や魅力を感じていないこと、責任感が軽いことが挙げられます。
スカウト担当者は、企業の人材獲得において重要な役割を担っています。適性のある人材がスカウト担当者となることで、求職者に寄り添った対応ができ、企業の人材獲得力が高まります。
5. 成功事例
5-1. 事例1(営業職の採用に成功したA社)
A社は、環境衛生用品のレンタルサービスを展開する中小企業。オフィスや飲食店向けに、独自の衛生管理システムを提供し、順調に事業も成長する中で、今後の事業拡大を目指すA社にとって、優秀な営業人材の採用が課題となっていました。
この課題を打開すべく、A社は営業職に特化したスカウト採用を開始。
スカウトメールの内容は、A社の「環境と衛生の向上で、社会に貢献する」という企業理念を全面的に押し出すものにし、またA社独自の営業ノウハウを惜しみなく公開。「当社の営業は、お客様の課題解決力が自慢です。あなたのスキルを自信に生きられる環境がここにあります」と、A社でしか得られないキャリアの魅力をアピールしました。
メールの配信タイミングは、営業職のため土日の昼頃のタイミングを見計らって設定。そのことにより、返答率は施策前から140%の向上。
スカウト担当者は、A社の中核を担うベテラン営業マンを採用。面談では、実際の営業秘話を伝えながら、「A社の営業は、どこよりもお客様から信頼される」と、自社の営業スタイル「一緒に、業界のスタンダードを変える営業を創り上げよう」と、情熱あふれる言葉で候補者の心を捉えました。
その結果、A社の営業職への応募は大幅に増加しました。スカウトメールが届き、A社の営業の魅力を深く理解した候補者が着実に集まるようになりました。採用の質は飛躍的に向上し、A社の営業力強化に向けた人材基盤の整備が大きく前進することに成功しました。
5-2. 事例2(農業テックベンチャー企業B社)
B社は、AI搭載のスマート農業システムを開発するベンチャー企業です。 園芸施設から水耕栽培まで、あらゆる農業形態の効率化と最適化を実現するサービスを展開し、業界から大きな注目を集めていました。 しかし、事業の急拡大に伴い、農業とAIの両方に精通したエンジニアの採用が急務となるものの、 通常の求人では、このような特殊なスキル人材の獲得は困難でした。
B社は、この課題に向けて、出身学部を軸としたスカウト採用を開始。
スカウトメールの内容は、B社の「テクノロジーで農業の常識を変える」というビジョンを、具体的な事例で伝えるものし、B社の農業IoTシステムの詳細を資料で紹介し、「この技術をさらに進化させるのは、あなたしかいない」と、当事者を喚起する工夫も凝らされました。
スカウト担当者は、みずから農家出身のエンジニアを起用。面談では、「農業を次の時代に導くのが、俺たちの日本の使命だ」と、農業の未来を熱く語りました。 「仲間になって、日本の大地に革新を起こしそう」と、同志としての連帯感を醸成することで、志の高いエンジニアの心を掴むことに成功したのです。
その結果、B社の農業×テクノロジーの取り組みは、多くの優秀なエンジニアの共感を呼び、スカウト採用は大きな成果をあげました。特殊スキルを持つ人材の採用を実現し、次世代農業の開拓を加速する原動力を手にしました。
B社の事例は、ベンチャー企業がスカウトメールを「志の高い人材との共感の橋渡し」として活用し、特殊スキル人材の獲得競争を制する方法を示しています。 AIと農業という、一見畑違いな2分野の接点を先に、「日本の基幹産業に革新を」という高いビジョンを求めて。それこそが、志の高い人材の心を動かし、ベンチャー企業ならではの「共感採用」を実現する鍵となったと言えるでしょう
6. 全体まとめ
本資料では、ベンチャー・中小企業が優秀な人材を獲得するための「スカウト採用」の極意を詳しく解説してきました。採用に悩む企業にとって、スカウトメールは大きな武器になります。
スカウト採用を成功に導くカギは、「自社の魅力」を盛り込んだメッセージを、「最適なタイミング」で「適切な相手」に送ることです。定型文ではなく、候補ごとの言葉選びにも注意が必要です。
スカウトメールの返信率を決めるのは、実は「タイミング」である可能性もあります。求職者の行動データを分析し、スマートフォンを手に取る可能性が高い時間帯を狙うことと、転職に前向きな求職者を見極める目利き力も求められます。
そして、スカウト担当者自身の「応対」も大切であり、会社の魅力を言葉に込められることにより、スカウト採用の可否を選択する際の決定理由になることもあります。
さらに、本書に登場した企業の事例からは、「自社の独自性を追求する」という、中小・ベンチャー企業ならではの視点や重要性も学んでいただけたと思います。大企業との競争に勝つためには、「この会社にしかない価値」を前面に出し、志の高い人材の心を揺さぶることが重要となります。
この資料の知見は、どの企業にも応用可能な普及的な内容であると同時に、スカウト採用の真髄としてお役立ていただけますと幸いです。
今こそ、自社の強みと魅力を再定義し、優秀な人材との出会いを切り拓いて、自社のブランド力を高める取り組みに活かしていただければと思います。
本資料が、読者の皆様の採用活動の新たな一歩を後押しする道となることを願っております。